動物に関する問題の2回目は、「外来種問題」について考えていきましょう。
〇外来種って?
日本には外来種が約2,000種いるとされています。
私たちの生活する環境にも外来種は多く存在していますが、中には生態系に影響を及ぼすものもあり、問題視されています。
では、「外来種の定義」とは何でしょうか?
環境省のホームページによると、外来種とは
「もともとその地域にいなかったのに、人間の活動によって他の地域から入ってきた生物のこと」を指します。
ここで言う「もともとの地域」と「他の地域」は国内外を問いません。
多くの人が外来種は「外国から国内に移ってきた動植物」と捉えがちですが、例えば、同じ日本でも九州固有の生物が元々生息していなかった北海道で生存確認されると外来種として認められます。
このような外来種を「国内由来の外来種」、外国からの外来種は「国外由来の外来種」と呼びます。
外来種でも地域の自然環境に大きな影響を与え、生物多様性を脅かす恐れがあるものを「侵略的な外来種」と言います。
しかし、外来種たちは自分自身が慣れない土地に移されたことで生命維持をするために固有種を食べてしまうに過ぎず、生き物が存在すること自体が環境に悪影響を及ぼすわけではありません。
〇外来種の問題
①地域の自然環境に与える問題
地域の自然環境に与える問題としては「捕食」「競合」「遺伝的かく乱」があります。
「捕食」…広い意味で、他の生物を食べることを指しますが、外来種の捕食によって、その土地の固有種が次々と食べられることが問題になっています。
「競合」…固有種と外来種が直接喰う喰われるの関係になるのではなく、固有種が利用していた住 処や餌を奪うことで固有種の生活を荒らしてしまうこと。
「遺伝的かく乱」…近縁の固有種と交配することで雑種をつくること。
②人体・身体への影響
毒を持つ生物に刺されたり、噛まれたりすると生死に関わる危険があります。
③農林水産業への影響
栽培されている野菜や果物を食い荒したり、畑を踏み荒らすことで農産物が育たなくなることがあります。
〇外来種の問題を防ぐためには
外来種が引き起こす問題を減らすために、様々な法律やルールが定められていますが、外来種を取り扱う人に対して3つのルール「外来種被害予防三原則」が設けられています。
1.(外来種を)入れない
2.(外来種を)捨てない
3.(外来種を)拡げない
「入れない」は、外来種を他所から持ち込まないようにすること、「捨てない」は、むやみに元々と違う環境に捨てて野生化させないこと、「拡げない」は、もし野生化してしまっても、繁殖をして地域の生物多様性を壊さないように食い止めることです。
さいごに
外来種の問題を防ぐのは外来種自体ではなく私たち人間です。
外来種に関わる際は、私たち一人ひとりが環境に悪影響を与えないように責任を持って扱うように意識しましょう。